食事のたびに人数分のおしぼりを用意して、配って、回収する——老人ホームやデイサービスでは当たり前の光景ですが、「そもそも何のために続けているのか」「もっと手間を減らせないか」と感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、食事前のおしぼりが持つ3つの役割を整理したうえで、現場でよくある困りごと、衛生面で押さえたいポイント、方式別の運用比較、そして職員の負担を増やさずに続ける工夫までをまとめます。毎食の運用を見直したい介護主任・管理者の方に向けた内容です。

※本記事は、自動おしぼり機の販売店であるPRSサービス株式会社が運営するサイトのコラムです。

食事前のおしぼりが果たす3つの役割

結論からお伝えすると、食事前のおしぼりは「手を拭くためだけのもの」ではありません。現場では次の3つの役割を同時に担っています。

介護施設で提供される食事の一例

1. 手指の清潔ケア

食事の前に手指を清潔に整えることは、介護現場の基本的なケアのひとつです。ただし高齢者施設では、麻痺や拘縮、認知症状などにより、全員が洗面所で手を洗えるわけではありません。車いすの方を毎食洗面所へ誘導するのが現実的でない場面も多く、座ったままの利用者様に手指の清潔ケアを届ける手段として、おしぼりが使われています。

手洗いの代わりというより、「手洗いが難しい方にも同じケアを届けるための道具」と捉えると、配布の意味がはっきりします。この考え方は公的資料とも一致しており、詳しくは後の章で出典つきに整理します。

2. 「これから食事」という切り替えの合図

温かいおしぼりで手を拭く時間は、利用者様にとって「今からごはんですよ」という合図にもなります。毎食同じ手順が繰り返されることが、生活のリズムをつかむ手がかりになっている——現場でそう感じている職員の方は少なくないのではないでしょうか。

レクリエーションや傾眠からの気持ちの切り替えを助け、食事へ意識を向けていただく。おしぼりの配布には、こうした食事導入の役割もあると考えられます。

3. おもてなし(ホスピタリティ)

食事の前におしぼりが出てくる体験は、旅館や飲食店を思わせる「もてなされている感覚」につながります。有料老人ホームに限らず、見学にいらしたご家族が食事の場面を目にしたとき、温かいおしぼりが一人ひとりに配られている様子は、施設の丁寧さが伝わりやすいポイントのひとつです。

日々のケアの質は外から見えにくいからこそ、目に見える所作が施設の印象を支えます。

現場でよくある運用パターンと困りごと

食事前のおしぼり運用は、施設によっておおむね次のいずれかです。

・タオルおしぼりを施設内で洗濯して繰り返し使う
・レンタル(貸し)おしぼりを業者から借りて回収してもらう
・紙おしぼり(個包装)を購入して使い捨てる
・自動おしぼり機でその場で作って使い捨てる

どの方式でも共通するのは、「1日3回×人数分」という物量です。たとえば入居者30名の施設で毎食配布すると、単純計算で1日90本、1か月で約2,700本になります。※30名×3食×30日で計算した一例です。おやつの時間や口腔ケアまわりで使う分は含みません。

そのうえで、現場からよく聞かれる困りごとには次のようなものがあります。

・準備の時間が食事前のピークに重なる — 配膳・食事介助の準備と同じ時間帯に、おしぼりを巻く・温める・配るという作業が集中します
・タオルの場合、洗濯・保管の手間が続く — 使用後の回収、洗濯、乾燥、たたみ直しまで含めると、見えない作業時間が積み重なります
・紙おしぼりの場合、在庫管理と発注が負担になる — 切らすと現場が困るため、多めに抱えて保管場所を圧迫しがちです
・「配りきれない日」が出る — 人手が薄い日や行事の日におしぼりの優先度が下がり、運用が不安定になります

おしぼりの準備がどれくらいの作業時間になっているかは、おしぼり準備にかかる作業時間とコストの整理で詳しく扱っています。

衛生面で押さえておきたいこと(出典つき)

食事前のおしぼりは手指に直接触れるものなので、衛生面の基本も押さえておきましょう。ここで紹介するのは公的資料に基づく方式一般の考え方であり、特定の製品の評価ではありません。

医療・介護施設内での衛生維持

食事の前は、手指衛生の基本場面のひとつとされています

厚生労働省老健局「介護現場における感染対策の手引き 第3版」(令和5年9月)の「利用者の手指の清潔」の項には、次のように記載されています。

感染が広がることを防ぐため、食事の前後、排泄行為の後を中心に、できるかぎり日常的な手洗い習慣が継続できるよう支援します。

同じ項では、手洗い場まで移動できる利用者にはできるだけ職員の介助により手洗いを行うこと、液体石けんと流水による手洗いができない場合には、ウエットティッシュ(消毒効果のあるもの)等で目に見える汚れをふき取ることが示されています。前章で触れた「手洗いが難しい方にも同じケアを届ける」という位置づけは、この記載に対応するものです。

共用タオル・保温器での保管について

同じ手引きの「共用タオル・おしぼり等の使用」の項には、次の記載があります。

共用タオルの使用は絶対に避けます。手洗い場の各所にペーパータオルを備え付けます。介護施設や通所系サービスでは、職員や利用者がおしぼりを準備することがありますが、タオルやおしぼりを保温器に入れておくと、細菌が増殖・拡大するおそれがあります。おしぼりを使用する場合は、感染症対策の観点からは使い捨てのおしぼり(ウエットティッシュ)を使用することが薦められます。

(出典:厚生労働省老健局「介護現場における感染対策の手引き 第3版」令和5年9月/PDFはこちら)

同趣旨の記載は、厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版」(2019年3月)にもあり、こちらでは「使い捨てのおしぼり(ウエットティッシュ)を使用することが望ましい」という表現になっています。いずれも使い捨て方式一般についての記述であり、特定の機器を推奨したものではありません。

タオルを洗って使う場合・貸しおしぼりを使う場合

繰り返し使うタオルおしぼりは、洗濯・乾燥・保管の管理が前提になります。また貸しおしぼりについては、厚生省(当時)通知「貸おしぼりの衛生確保について」(昭和57年11月16日 環指第157号)の別添「おしぼりの衛生的処理等に関する指導基準」があり、次の2つの方法が示されています。

① 洗濯工程中に塩素剤を使用する方法 — 60℃以上の温湯で10分間以上の本洗い → 脱水 → 清浄な水で4回以上(各回3分間以上)のすすぎ(各回ごとに脱水) → すすぎの2回目以降に遊離塩素250ppm以上となるよう塩素剤を添加して消毒
② 熱湯または蒸気で消毒してから洗濯する方法 — 80℃以上の熱湯に10分間以上、または100℃以上の蒸気に10分間以上 → その後①と同じ条件で洗濯

※いずれも「汚れの程度が著しいもの等」を除いたおしぼりの処理基準です。

これは貸おしぼり業者(クリーニング業の営業者)に向けた指導基準であり、介護施設に課された義務ではありませんが、業者を選ぶときや、施設内で洗って使う運用を見直すときの目安になります。条件の詳細は高齢者介護施設でのおしぼり消毒方法で整理しています。

なお、ここで挙げたのはあくまで一般的な衛生管理の考え方です。感染症の流行期の対応や委員会での検討事項については、公的資料の最新版を直接ご確認ください。

方式別に見る食事前おしぼりの運用比較

食事前という「1日3回、時間が決まっている」場面に絞って、4方式の運用を比較します。※入居30名規模・毎食配布を想定した定性比較です(2026年7月時点)。費用は施設の使用量・契約条件により変わるため、個別の試算をおすすめします。

観点 タオル(施設洗濯) レンタルおしぼり 紙おしぼり(個包装) 自動おしぼり機
食事前の準備 巻く・温める作業が毎回発生 開封して配るだけ 開封して配るだけ ボタン操作でその場で1本ずつ作る
使用後の後処理 回収→洗濯→乾燥→保管 回収してまとめて返却 廃棄のみ 廃棄のみ
在庫・管理 タオル枚数の管理 納品・回収サイクルに依存 発注・在庫スペースが必要 ロール紙・専用液の補充
温かいおしぼり 蒸し器等で加温が必要 業者・契約による 別途加温の手間 本体で常時保温
向いている施設 洗濯体制に余裕がある施設 回収サイクルが合う施設 使用量が少ない施設・外出時 毎食など使用頻度が高い施設

それぞれに向き不向きがあり、使用量が少ない施設では、個包装の紙おしぼりのほうが管理しやすい場合もあります。毎食×人数分という頻度の高い運用では、「その場で必要な分だけ作る」自動おしぼり機が選択肢に入ってきます。

自動おしぼり機プールスの操作ボタン

自動おしぼり機プールス(プールス株式会社製/販売・レンタル:PRSサービス株式会社)は、ロール紙を1本ずつカットして専用液で湿らせる使い捨て方式の機器です。本体で常時保温するため、温かいおしぼりをそのまま取り出せます。ロール紙の長さは18・24・30・36・42cmの5段階から選べるので、場面に応じて大きさを使い分けられます。サイズごとの使い分けはロール紙のサイズと種類をご覧ください。

レンタルおしぼりとの違いはレンタルおしぼりと自動おしぼり機の違いで、実際の施設での使われ方は医療・介護施設の導入事例で紹介しています。

負担を増やさずに続けるための工夫

おしぼりの配布は「やる意味は分かるが、手が回らない」というのが現場の本音ではないでしょうか。負担を増やさずに続けるために、方式を変えなくてもできる工夫と、方式ごと見直す選択肢の両方を挙げます。

・配布のタイミングを配膳動線に乗せる — おしぼり配布を独立した作業にせず、お茶出しや配膳と同じ動線で一緒に配ると、往復が減ります
・「巻く・温める」の前倒しをやめられないか検討する — 食事前のピーク帯に作業が集中しているなら、その作業自体を減らせる方式への変更が効きます
・在庫・洗濯の担当を属人化させない — 発注や洗濯のルールを紙1枚にして誰でも回せる状態にしておくと、人手が薄い日でも運用が止まりにくくなります
・1週間だけ実測してみる — おしぼりに使っている時間を一度測ってみると、見直すべきか続けてよいかの判断材料になります

方式の変更を検討される場合は、実際の食堂・デイルームで試してから決めると、判断を誤りにくくなります。

まとめ

・食事前のおしぼりには、手指の清潔ケア・食事への切り替えの合図・おもてなしという3つの役割があります
・1日3回×人数分の物量が、準備・後処理・在庫管理の負担として現場に積み重なりやすくなります
・衛生面は公的資料の考え方が基準になります。厚生労働省の手引き(第3版)では、保温器での保管は細菌が増殖・拡大するおそれがあるとされ、おしぼりを使う場合は使い捨てが薦められています
・方式ごとに向き不向きがあり、使用頻度が高い施設ほど「その場で作る使い捨て方式」が選択肢になります
・まずは配布動線の見直しと作業時間の実測から。方式変更はデモで試してから判断されることをおすすめします

食事前後のおしぼり運用全体の見直しは、介護施設でのおしぼり活用シーンまとめもあわせてご覧ください。

実際の現場で試してみてください

毎食のおしぼり準備を今の方式のまま続けるか迷ったら、実機を施設で試してみるのが確実です。プールスでは10日間の無料お試しをご用意しています。デモ機・消耗品・往復送料はいただきません(沖縄・離島を除く)。

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