介護施設のおしぼりは、どこまで消毒すればよいのか。判断のよりどころになる公的な基準は2つあります。ひとつは貸おしぼり業者向けに定められた「おしぼりの衛生的処理等に関する指導基準」、もうひとつは厚生労働省が介護施設向けにまとめた感染対策マニュアルです。この記事では、その2つに何がどう書かれているのかを出典つきで整理し、施設で洗って使う場合の手間と、使い捨てに切り替える場合の考え方を並べて比較します。

ご存じですか?介護施設における1日のおしぼりの消費量

介護施設では、1日にかなりの枚数のおしぼりを使います。朝昼晩の食事時に1枚ずつ、加えて汚れたときの対応や清拭を数えると、入居者お一人あたり1日4〜5枚になることも珍しくありません。

■ 介護施設でよくあるおしぼりの使用場面
・朝昼晩の食事時
・手や顔が汚れたとき
・とっさの汚れ対策として
・入浴代わりの清拭時

入居者さんが25人の施設で、お一人1日4枚を使うと1日100枚。これを洗って再利用する運用にすると、洗濯・消毒・保管の作業が毎日発生します。※枚数は「25人×4枚」で計算した一例です。実際の枚数は施設の規模やケアの内容によって変わります。

入居者さんとご家族に安心していただける施設であるために

介護施設として大切なことは、入居者さんに安心して、清潔な環境で、満足のいくサービスを受けていただくことです。

それと同時に、入居者さんをお預かりしているご家族にも安心していただけるだけの環境を整えることも大切になってきます。

そのためにも、毎日必ず使用するおしぼりの衛生状態は、確認しておきたい項目のひとつといえます。

おしぼりの消毒方法として基準に定められている2つの方法

おしぼりの消毒方法については、厚生省(当時)が「貸おしぼりの衛生確保について」(昭和57年11月16日 環指第157号)で、別添「おしぼりの衛生的処理等に関する指導基準」を定めています。

はじめに、この基準の対象を正確に押さえておきます。この指導基準は、おしぼりを貸与し、回収して洗濯し、また貸与することを繰り返す「貸おしぼり業者」(クリーニング業の営業者)に対する指導基準として定められたものです。介護施設に消毒を義務づけた規定ではありません。ただし、施設内で布おしぼりを洗って再利用する場合や、貸しおしぼりの業者を選ぶ場合には、「どこまでやれば衛生的といえるか」を考えるうえでの参考にできます。

基準では、汚れの程度が著しいものを除くおしぼりについて、次のいずれかの方法が示されています。

① 洗濯工程中に消毒効果のある塩素剤を使用する方法
・適量の洗剤を使用し、60℃以上の温湯で10分間以上本洗いを行い、脱水する
・すすぎは清浄な水で4回以上(各回3分間以上)行い、各回ごとに脱水する
・すすぎの2回目以降に、さらし粉または次亜塩素酸ナトリウムを添加し、遊離塩素250ppm以上となるようにして消毒する

② 熱湯または蒸気による消毒後に洗濯する方法
80℃以上の熱湯に10分間以上浸すか、100℃以上の蒸気に10分間以上触れさせて消毒する
・その後、①と同じ条件(60℃以上の温湯で10分間以上の本洗い、清浄な水で4回以上のすすぎ)で洗濯する

(出典:厚生省環境衛生局長通知「貸おしぼりの衛生確保について」昭和57年11月16日 環指第157号 別添「おしぼりの衛生的処理等に関する指導基準」)

同じ基準では、製品として貸与されるおしぼりの衛生基準として、変色および異臭がないこと・大腸菌群が検出されないこと・黄色ブドウ球菌が検出されないこと・一般細菌数が1枚当たり10万個を超えないことが望ましいことも示されています。

こうして条件を並べてみると、2つの方法はいずれも「温度」と「時間」を管理し続ける工程だとわかります。80℃以上を10分間キープする、あるいは遊離塩素の濃度を保ったうえで4回すすぐ。枚数が多いほど、この管理を毎日そろえること自体が負担になります。

なお、塩素系漂白剤を使う場合の濃度・使い方は製品によって異なります。実際の運用にあたっては、必ずお使いの製品の表示と施設の衛生管理マニュアルに従ってください。

実際に行われているおしぼり消毒の現状

施設内でおしぼりを用意する場合、実際にはいくつかの方法がとられています。代表的なものを整理すると、次のようになります。

介護施設で行われている代表的な方法

・前日に水につけて丸めておいたおしぼりを、ウォーマーで温めておく
・塩素系の漂白剤と一緒に洗濯しておく
・業者に消毒と洗濯を依頼し、施設では濡らしてウォーマーで温める
・洗濯する前に塩素系漂白剤でつけ置きする

いずれも実務上の工夫ですが、濡らして保管し、温めてから提供するという流れには、保管している間の状態をどう管理するかという課題が残ります。この点については、後述する厚生労働省のマニュアルにも記載があります。

一方で、「温かいものをお出ししたい」という理由から、温める工程は省きにくいという声もあります。衛生面の管理と、ケアとしての心地よさを両立させようとすると、工程はどうしても増えていきます。

おしぼりの準備に時間を取られていませんか

おしぼりの消毒・洗濯・準備は、毎日必ず発生し、しかも省くことができない作業です。清潔なものをお出しするために必要な工程である以上、単純になくすことはできません。

介護施設でおしぼりを準備するスタッフ

だからこそ、この「おしぼりの消毒・洗濯・準備」という毎日の作業をどう簡略化するかが、現場の検討テーマになります。

また、洗って再利用する運用は、担当するスタッフによって手順にばらつきが出やすい作業でもあります。誰が担当しても同じ状態のものが出せるようにしたいという観点から、運用の見直しを検討される施設もあります。

厚生労働省の資料では「使い捨てが望ましい」とされています

介護施設のおしぼり運用については、厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版」(2019年3月)に該当する記載があります。「共用タオル・おしぼり等の使用について」の項に、次のように書かれています。

共用タオルの使用は絶対に避けます。手洗い場の各所にペーパータオルを備え付けます。高齢者介護施設では、職員や入所者がおしぼりを準備することがありますが、タオルやおしぼりを保温器に入れておくと、細菌が増殖・拡大するおそれがあります。おしぼりを使用する場合は、使い捨てのおしぼり(ウエットティッシュ)を使用することが望ましいです。

(出典:厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版」2019年3月/PDFはこちら

ポイントは3つです。①共用タオルは避ける ②保温器での保管は細菌が増殖・拡大するおそれがある ③おしぼりを使うなら使い捨てが望ましい。前章で触れた「濡らして保管して温める」運用の課題は、この②に対応しています。

厚生労働省「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」の該当箇所(平成17年3月版と平成25年3月版の対比)

ここで区別しておきたいのは、この記載が「使い捨て方式」という方法一般についてのものであり、特定の製品を評価したものではないという点です。自動おしぼり機は使い捨て方式の機器ですが、公的資料が特定の機器を推奨しているわけではありません。委員会などで説明される際は、この2つを分けて整理されることをおすすめします。

なお、介護施設・事業所には感染対策委員会の開催や指針の整備が運営基準で求められており、厚生労働省老健局は「介護現場における感染対策の手引き 第3版」(令和5年9月)も公表しています。運用を見直す際は、こうした公的資料の該当箇所を記録に添えておくと、検討の経緯が残しやすくなります。

自動おしぼり機を使う場合、工程はどう変わるか

自動おしぼり機は、ロール紙を1本ずつカットし、専用液で湿らせて排出する使い捨て方式の機器です。自動おしぼり機のしくみと選び方もあわせてご覧ください。

自動おしぼり機プールスの特徴

洗って再利用する運用と比べたとき、工程の面では次の点が変わります。

・洗濯と消毒の工程がなくなる(使い捨てのため回収・洗濯を行わない)
・保温器で濡れたおしぼりを保管しておく必要がなくなる
・必要なときに必要な枚数だけ取り出せるため、使う量の見込みを立てておく必要が減る
・返却が不要なため、回収用の保管場所を確保しなくてよい

一方で、ロール紙と専用液は継続して購入する消耗品になります。洗濯にかかる人件費・水道光熱費が減る代わりに、消耗品費が発生する形です。どちらが有利かは施設の使用枚数と現在の運用によって変わりますので、おしぼりにかかる時間とコストの考え方で試算の方法をご確認ください。

用途別に見た、現在の運用と自動おしぼり機の違い

食事の手拭き、おむつ交換時の清拭、身体の清拭、備品の清拭。用途ごとに、現在の運用と自動おしぼり機を使った場合の違いを整理したものが下の表です。

用途別に見た、現在のおしぼり運用と自動おしぼり機プールスの違い

おしぼりの大きさは18・24・30・36・42cmの5段階から選べるため、用途に応じて1台で使い分けられます。サイズごとの使い分けはロール紙のサイズと種類にまとめています。

貸しおしぼりとの違いを整理したい場合は貸しおしぼりとの比較を、他の方式も含めて比べたい場合はおしぼりの方式別比較をご覧ください。

切り替えが向く施設・向かない施設

すべての施設に自動おしぼり機が適しているわけではありません。判断材料として、正直なところをお伝えします。

■ 検討する価値が大きい施設
・施設内でおしぼりを洗濯・消毒しており、その工程に毎日まとまった時間がかかっている
・担当者によって手順にばらつきが出ている、または手順を標準化したい
・清拭にも同じ機器を使いたい(サイズを使い分けたい)

■ 急いで切り替える必要が薄い施設
・すでに使い捨てのウェットティッシュ等で運用が回っており、手間もコストも問題になっていない
・使用枚数が少なく、消耗品費が洗濯コストを上回る見込みがある
・設置スペースや給水・電源の条件が合わない

どちらに当てはまるかは、現在の使用枚数と作業時間を実際に数えてみるのが確実です。

まずは実際の現場で試してみてください

おしぼりの運用は、施設ごとに前提が違います。カタログの数字より、実際に設置して使ってみたときの使い勝手のほうが判断材料になります。

プールスでは10日間の無料お試しをご用意しています。デモ機・消耗品・往復送料はいただきません(沖縄・離島を除く)。実際の職場に設置して、準備と片付けの手間がどう変わるかをご確認ください。

10日間の無料お試し・デモ機のお申し込みはこちら

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